「お通夜の時は、お線香はずっと焚いておかないといけないんだよ。」


とてもとてもよくお聞きする言葉です。


…ところで、お線香を焚くという事はどういう意味なのでしょうか。


一説には、そのけむりが穢れ(けがれ)を祓う、身を清めるなどと言われています(消臭効果も兼ねていると聞いたこともあります)が、基本的にこれは、慣習です。以前は、死は穢れであり、恐ろしいものである事とされていて、その穢れを受けないように…という意味合いが強かったようです。


しかし、例えば、以前は、お葬式の後にご自宅に帰られると塩をまくのが当たり前だった慣習が、「亡くなったのは、自分の大切な家族(友人・知人)なのに、塩をまいたりする必要がどこにあるのだろうか。」という考え方になり、今や、会葬礼状や会葬品とともに入っていた「塩」は、ほとんど見る事がなくなった事を考えると、「身を清めるため」のお線香であるなら、一晩中絶やさずにいる…という必要はないのかもしれませんね。


ただ、私達、葬祭者が思うのは、亡くなった方と過ごす日は、今日が最後なのだという事を忘れないでいただきたいのです。心はいつも共にある事は分かっています。でも、その肉体をご家族の目で見る事ができ、触れる事ができるのは、この夜が最後なのです。ですから、どうか、お線香を焚く事にとらわれず、時間をみつけて、亡くなった方に話しかけてください。


「昔はああだったね、こうだったね、よく喧嘩したね、でも大好きだ」などと語りかけてください。色々な事情があり、もしも…たとえ…大嫌い、としか言葉がでないとしても、どうかどんな言葉でも交わしてください。

亡くなった方が、ご自分の死を通して、ご家族やお身内を集めてくださった大切な機会だと思うのです。


ご家族は、例えば、看病であったり、これまで大変なご苦労をされてきたと思います。体も心も疲れ果てていらっしゃるでしょう。ゆっくりと休んでいただきたいと本当に思っています。


ただ、もう一晩だけ、頑張っていただきたいのです。

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