人が亡くなることによって、こんな慣習があったのか…と初めて知った。という方がいらっしゃるのではないでしょうか。これは、その土地によって、また、言い伝えによってなど、様々な形態を起源としています。ですから、普段自分が、当たり前だと思っている風習が、実は、全然知られていなかった…などということは、割とよくある事のようです。また、現在においてその慣習はあてはまるのだろうか、とお考えの方もいらっしゃるようです。


 ここでは、代表的なものをいくつかご紹介したいと思います。但し、宗派の違いはもとより、以下の慣習自体が無い所がある事や、呼び方が同じであってもその内容が違う事、様式が違う事も考えられますので、ご参考程度…として考えていただけたらとおもいます。

 

 <守り刀> 

 ご遺体の枕元か、体の上に置きます。

これは、魔除けや、鎮魂の為。故人の魂が、死霊に持ち去られるのを防ぐため、または封込める為といわれています。故人が武士である場合に枕元に刀を置いた名残であるという説もあります。ただし、刀を体におく場合、刃先を顔の方向にする、足の方向にする、縦に置く、横に置く、という事は地方によって違うようです。また、浄土真宗系ではこの習慣はありません。


<逆さ屏風>  

ご遺体の周囲に屏風を逆さにして立て、ご遺体の周りにめぐらせます。

これは、死後の世界が生の世界とは逆であるという考え方を基に上下逆にするのです。また、屏風をめぐらせるのは、故人を悪霊から守る意味と、それとは逆に、死の穢れが周りの人々に及ばない様にといった相反する意味があります。


※古事記には、死の世界は恐ろしく、生きている者を死の世界へ引きずり込む力をもっているという考え方が出ています。死は穢れ(けがれ)ており、死霊は恐ろしいものされています。しかし、古代においては、死者を大切にする考えと、死を穢れているとし、恐怖の対象とする考えといった矛盾した観念が併存しています。


<魂呼び(たまよび)>

 人が亡くなったと思われたとき、その人の枕元で名前を呼ぶ事です。

枕元以外に、屋根の上や、井戸・海に向かって呼ぶ事もあります。亡くなる事は、魂が体から離れる事とされていましたから、体から抜け出てしまった霊魂を呼び戻し、生き返って欲しいという願いが込められていました。

 


 他にも、<ご出棺時に玄関ではなく、窓や縁側から出る> <生前使っていた茶碗を割る> <耳塞ぎ> <年違え> <逆縁の場合、親は火葬場に行かない>など様々な慣習があります。



例えば、うちの母は「風邪を引いたら塩を煎ってサラシでくるんで首に巻くと治る!」と言いまして、私は「どういう根拠よ…」と思いながら、しぶしぶ従います。母いわく、「理由はないけど、私のお母さんもばあちゃんも皆そうしてきたし、それで絶対治る。病院に行くより治る。」と自信満々です。そして、ネットで調べると、なんと古くからのパキスタンの民間療法だという事がわかり、ある意味完敗ですが、たまたまでしょ…という気持ちも否めませんので、次回は言う事を聞かないかもしれません。


つまり、「昔からの決まり」を大切にすることも一つ。それを覆すことも一つ。


ただ、先人の知恵は、叡智の結集です。どんな慣習も、たとえそれが「習俗」だといわれても、人は大切な人を守るために、きっと都合の良い慣習を作ったのだと思います。やはり、言い伝えられる事の多くは、人への思いやりから発生した形の一つなのだと感じます。

ですから、慣習に対し、色々と考える事もありますが、まず、言い伝えられてきた事に敬意を、そしてそれを信じる人の心を大事に思っていただけたらと思います。


慣習は人の想いの生せる技だとおもうのです。

コメント(0件)

 

■コメントを書く
タイトル
本文
お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
削除パスワード
コメントを削除する際に必要になります。
認証キー 下の画像に表示されている数字を半角でご記入下さい。
(画像は毎回変わります)